2006年10月30日

ipod vs 日本語

アップルのipodの快進撃はまだまだ続きそうだ。2005年秋発売のipod nanoはこの快進撃にさらに勢いを与えた衝撃的なものだった。Macファンをわたしにとっては、嬉しいことなのだが、実はわたしは持っていないし、今のところ買う予定もない。しかし、気になるのは、発売時に出された広告文の次の文句である。(※色はoyanagiによる)
アップルのサイトによると「鉛筆ほどの薄さ」で手の中にすっぽり収まるサイズだという。
これは、当時Yahoo newsの記事に載った文章だが、今はリンク切れで閲覧できない。しかし、googleで「鉛筆ほどの薄さ」と入力すれば、すぐに発見することができるし、そのヒット数もかなりのものである。※フレーズ検索に限定するため、" "でくくる。
■入力 [ "鉛筆ほどの薄さ" ]
■ヒット 34,100件

アップルの元々の英語はここで確認できる。(※色はoyanagiによる)
http://www.apple.com/feeds/products/nano.html
the pencil-thin iPod nano packs the entire iPod experience into an impossibly small design.

日本語として、「鉛筆」と「薄さ」はかなり奇妙な取り合わせである。鉛筆のような形状のものは、日本語では「太いー細い」という言葉で形容し、板のような形状のものを「厚いー薄い」という言葉で形容する。

ipod nanoはその薄さが"売り"だったわけで、それを形容するために、「〜ほどの薄さ」という言い方をするのはいいだろう。しかし「〜」に「鉛筆」が入るのは、英語の発想である。英語のthickがカバーする意味範囲は広い。日本語で「厚い」というのはもちろん「太い」と言うものまで含む。だから、厚い板も太い首も英語ではどちらもthickである。だから、薄いことを「鉛筆」でもって示すことに英語はためらいはないが、日本語では奇妙に感じるというわけだ。

「鉛筆」が不自然ならほかに何が使えるのか? 慣用的なものがあるのか?
googleで「ほどの薄さ」でフレーズ検索してみるとわかるが、「鉛筆ほどの薄さ」が概算で全体の7割を占めていることがわかる。そして、そのほとんどが、ipodのようなプレーヤー関連であることがわかる。

■入力 [ "ほどの薄さ" ]
■ヒット 50,600件

■入力 [ "鉛筆ほどの薄さ" ]
■ヒット 34,100件

■入力 [ ”鉛筆ほどの薄さ” "ipod" ]
■ヒット 33,900件

それでは、「鉛筆ほどの薄さ」は、ipodと類似する機器以外に、日本語として使われているのか。それを調べるために、除外検索をして、確かめてみる。
※マイナス(ー)検索を一つずつかけて、ヒット数が減少していくことを確認してほしい。

■入力 [ "鉛筆ほどの薄さ" -"ipod" -"nano" -"mp3" -"mp4" -"gb" -"動画"]
■ヒット 1件

この1件は、昨年の10月にやはりipod nanoに関連した記事を見て、私と同じように不思議に感じたことを書いたブログである。
http://blog.goo.ne.jp/a_ichinose/m/200510

ipodの広告文から始まり、その類似品にまで及んだ「鉛筆ほどの薄さ」のような日本語は、ipodの躍進とともに、定着していくのだろうか・・・。インターネットの時代にあって、言葉の変化をひきおこすきっかけは、意外にもこんなところにもあるのかもしれない。

ちなみに「髪の毛ほどの薄さ」は現在、google検索では1件しかヒットしない。一方「髪の毛ほどの細さ」は296件ヒットする。「髪の毛ほどの薄さ」にあまり抵抗を感じなくなれば、鉛筆だって、「鉛筆ほどの薄さ」と言えるようになるのだろうか・・・。
posted by oyanagi at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉・コトバ・ことば
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